英語にまつわる短篇小説の記事一覧
新しい年が始まってから、久美子は謎の外出が多くなった。 忙しそうに家事をこなし、そそくさと外出する久美子を見送りながら、わたしは少し胸騒ぎがしていた。 最初は何とも思わなかったが、近ごろどうもおかしい...
「シートベルトの着用サインが消えましたが、飛行中は急に揺れることもございます。座席にお着きの方はシートベルトをお締め下さい」 羽田発、福岡行き。フライト時間1時間50分。 尚子はシートベルトをはずして...
上林郁夫は英語が出来なくて悩んでいる。 こんな事なら三年前、英会話スクールに体験レッスンに行った時に学習を始めておけば良かった。あの時スタートしていれば、今頃英語がペラペラだったはずなのだ。 当時は仕...
ロンドンのビクトリアステーション周辺はb&bを含め、多くのホテルが立ち並ぶ。その中の一つに、少し古めかしいが品格を感じさせる老舗の小さなホテルがある。 そこにキャメルのコートに身を包んだ一人の...
JR恵比寿駅東口を出てすぐの所に、いわゆるオシャレなイメージとはかけ離れた「恵比寿横丁」という昭和の雰囲気を感じさせる飲み屋街がある。新宿の小便横丁をほうふつさせる古めかしいその横丁は、実は創業が二〇...
ニックネームをつけなければならない。 そもそもニックネームやあだ名は他人がつけるものであって、自分でつけるものではないと思っている。富田雅人は困っていた。 念願のニューヨークへの海外赴任が決まったのは...
宮川佐知子は師走の夕闇の迫る日比谷公園の前をコツコツと歩いていた。 普段は人や車が行き交う通りだが、日曜日の夕方であるためか閑散としていた。佐知子は紺のトレンチコートに赤いストールを首に巻き、中にはグ...
遠足に行くのは果たして何年ぶりだろうか。 小学生の頃は遠足というだけで心が踊り、前日は楽しみで眠れなかったという事を久しぶりに思い出した。「おやつは三百円まで」「バナナはおやつに入りますか?」などのや...
― 2047年 恵比寿のとある研究所にて ― 博士!ついに完成しました! おおっ。片山くん。ついに出来たか! はい。これでもう人類に言葉の壁は無くなります。いやー、長年頑張って研究してきた甲斐がありま...
年末感が息苦しい。 年の瀬になるといつも一年を振り返り、今年は少しは成長できたのか、などと自問自答をしてしまう。 街を歩くと、足早に家路を急ぐビジネスマン。待ち合わせらしくスマホで道を調べながら足早に...
ビールの注ぎ方にはコツがある。 まず、注ぐグラス選びが大事である。炭酸を楽しむ為には細長いタイプのグラスが良い。保冷性を重視するなら金属のグラスが適しているが、ビールはやはり、あの色合いと泡を横からも...
英会話研究所所長
英会話研究所の研究員
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